まず、私たちの生活がどう変わるのかということですが、自由化されることによって、今までになかった様々な電気料金のメニューが出てくるということが最も大きな変化になると考えられます。そしてその様々な料金メニューの中から、自分の生活に合ったものを自由に選択できるようになるのです。

イメージとしては、携帯電話のように通信会社を選ぶことができ、いろいろな契約プランやメニューの中から、消費者が自分の生活スタイルなどを考えながら好きなプランを選ぶことができるという感じです。実際海外では、何百、何千という料金プランが存在する国もあり、それをインターネットのサイトなどで比較したり電話で相談をしたりして「じゃあうちはこのプランがいいかな」と電力会社を自分たちで賢く選ぶというのが一般的になっています。

今までは、東京管内に住所登録している会社、家庭の契約先は東京電力しかありませんでした。しかも、電気の料金プランも基本的に各家庭や会社についている電力メーターの数値によって決まっていました。料金メニューは複数存在していますが、多くの人は、変更していないのではないでしょうか。そういった状況は、消費者にとってはある意味何も考えずに済んで楽だったのですが、これからは自分たちで判断して様々なサービスプランの中から選ばなければなりません。そこが今までと大幅に変わる点です。

一方で、選択肢がすごく増えてしまうと、逆にどうやって選んだらいいのか、何を参考に、何を基準に選んだらいいのか分からなくなるのではと心配される方もいるかと思います。どんなサービスがあって、自分はどこを選ぼうかなと調べるのが好きな人にとっては楽しいかもしれません。今でも自動車保険、ポイントやマイルなどでも、多種多様なサービスがあります。どっちがどれだけお得かな?などと調べるのが楽しい方もいると思いますが、そうでない人にとっては少し面倒くさい状況になるかもしれません。

はじめのうちは、どんどん料金プランが増えていくので、それについていけなくなってしまって、どうしたらいいか分らなくて困ってしまう人も出てくるでしょう。そういう訳なので、料金プランがたくさん増えることが全ての人にとってメリットかというと、そうとも言えない面もあります。それについてどう対処していったらいいのかということについては、後ほどご説明します。

新しい電力料金プランと太陽光発電とは

自由化後に出てくる新しい電力供給サービス、太陽光発電後の電気料金のプランにはどのようなものがあるのでしょうか。
例えば「長期契約割引プラン」といったサービスが出てくると思います。つまり「うちの会社と5年間の長期で契約し、かつ前払いしてくれるのであれば、半年分はダダにします」といったプランです。航空会社が行っている「早割」とか「先得」のようなサービス(※注9)のイメージですね。そうした、既に他の業界で提供されているような料金プランと似たようなプランやメニューがどんどん出てくるのではないかと考えられます。

それ以外にも「家族契約割引」のようなものも出てくるかもしれません。例えば家族が別々に住んでいる場合、今だとそれぞれの家で別々に料金を払っています。それを「家族5人分まとめて契約すれば基本料金を安くします」というようなものです。こうした新しいプランやメニューは、従来の料金体系で少し損をしてきた人たちにとってはとても太陽光発電もメリットがあるでしょう。
参考:【太陽光発電メリット・デメリット2017】設置は損か得か

しかし、逆に一人暮らしの学生や若者などは大して電気料金が下がらない可能性があります。電力会社の立場からすると、離れ離れの家族5〜6人分がまとめて契約してくれる家庭や長期で契約してくれる顧客の方が、メリットがあります。都心に一人暮らしで、あまり電気は使いません、というような人が「何かもっと割安になる料金プランを提案してよ」と言っても、どこも提案してくれない可能性があります。むしろ今までより料金が高くなってしまうことすらあるでしょう。

また「団体契約」のようなプランも出てくるでしょう。例えば、特定の信条・ポリシーを持った団体、サークル、民族団体、または特定のコミュニティなどを対象としたプランです。そうなると、「うちの団体はエコを推進しているから、再生可能エネルギーの電気を売っているこの会社の電力を使います」とか、「うちのコミュニティは○○会社と協力関係にあって応援したいから、この会社の電気を買います」といった選択も可能になります。そうした団体割、コミュニティ割のようなプランはきっと出てくるでしょう。組織ぐるみで電力を一括購入して、その電気を所属メンバーに安く配分するというような考えを持つ人たちも出てくるでしょうし、そういう組織や団体をターゲットにしたプランの営業をする電力会社も出てくると思います。

あるいは、安い時間帯の電気を選んで購入して家庭の蓄電池(電気をためておける電池)にためておいてちょっとずつ使う、という人も出てくるでしょう。

電気料金というのは、電力消費量の多い昼間よりも、消費量の少ない夜間の方が安い傾向にあります。そのため、「夜は電気をもっと安く売ります」という電力会社が出てくる可能性もあります。すると「うちは夜間の電気のみを買って、家の蓄電池でためておく。昼間の電気は買いません」という選択をすることもできます。

一般家庭用の大容量の蓄電池も徐々に出てきています。アメリカの電気自動車(EV)メーカーのテスラモーターズ(※注皿)なども蓄電池の販売を始めましたが、今後もっと電気自動車が一般的になると、電気は電気自動車にためておける、つまり大容量の蓄電池代わりになります。そこで、電気自動車とセットにして電力を販売する会社も現れるのではないでしょうか。電気自動車については今後様々な活用法が出てくると思いますが、その辺りについては後ほど詳しく述べます。

また、鉄道会社なども新しいサービスを始めるところが出てくるかもしれません。鉄道会社は以前から自由化の対象になっていますので、電気料金を安くする努力を既にしていますし、自分たちで独自の発電設備を持っている会社も多いです。そういう訳なので、鉄道会社が新しいサービスとして「うちの電気を買ってくれたら、年に1回、新幹線や特急券などの無料チケットを差し上げます」といったサービスも出てくる可能性があります。

おそらく住宅メーカーも参入してくるでしょう。「うちの会社で家を建ててくれたら、3年間は電気代をうちの会社が持ちます」といったプランを出してくる可能性もあります。そういう、電気をある種のおまけとして活用して自社商品を売るというサービスが、これからたくさん出てくるのではないでしょうか。大手住宅メーカーの大和ハウスエ業も、既に電力事業に参入を表明しています。電力の販売で儲けようというよりは、電気という商材で顧客とのつながりを強化していこうという考え方に向かっていくと思われます。